映画「カトマンズの約束」

2015年4月25日のネパール大地震は未曾有の災害となり、9千人近い死者を出した。
あれから僕はネパールは訪ねていないのだが、復興は果たしてどうなっているのか、常に気にはなっている。

そんなネパールの震災からの復興を描いた映画「カトマンズの約束」が公開された。


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監督は伊藤敏朗氏。
すでに「カタプタリ」「カトマンズに散る花」をネパールで監督した日本人映画監督である。

渋谷ユーロライブでの上映を観に行った。




作品の冒頭は「カタプタリ」のシーンから始まる。
つまり、この作品は「カタプタリ」の少年のその後の姿が描かれているのだ。
「カタプタリ」で成長後の少年を演じたガネシュ・マン・ラマが主人公を演じている。


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本編はカトマンズのダラハラ塔(ビムセン・タワー/写真上)が倒壊するという衝撃のシーンで幕を開ける。
主人公はカトマンズの建築の脆さに警鐘を鳴らす建築家のラメス(演:ガネシュ・マン・ラマ)。
しかし、彼の主張は回りに受け入れられない。

ラメスは妻子ある身であるが、看護婦のニサといい関係にあった。
日本に招待されているラメスはニサを迎えに来ると約束する。

震災からの復興を描いたドキュメンタリータッチの作品であるのだろうと予想していたのだが、
いきなりミュージカルシーンが挿入されていて戸惑った。
いや、普通のネパール映画であれば、シリアスな作品であってもこうしたミュージカルシーンがあるものなのだが…。
もともとこの作品は「マイ・ラブ」という恋愛映画として企画されていたものなのだそうだ。
2013年から撮影が始まるも、ネパール大地震によって中止を余儀なくされていた。
いくつかのミュージカルシーンはその作品の名残のようだ。

ラメスが日本を訪ねる場面でも4人少女アイドルグループが歌いながら日本を紹介している。




日本滞在中にラメスはネパール大地震の報を受ける。
ネパール建築の専門家としてテレビに出演したのをきっかけに、国際緊急援助隊(JDR)の一員としてラメスはネパールへ戻る。

JDR隊員の麻衣子(演:水谷りぼん)や北沢(演:早田友一)らと協力して救出活動に当たるラメス。
その傍らニサの姿を探すが、生死は知れない。
ラメス自身も5月12日の最大余震で、崩れてきた土砂に巻き込まれ、生死の境をさ迷うこととなる…。


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震災前のカトマンズが記録されているのは、今となっては貴重である。
そして、震災4ヶ月後から撮影再開されたという震災直後のカトマンズの生々しい様子も映し出される。
僕はまだ震災後のネパールは訪ねていないが、
カトマンズのダルバール広場(写真上)やアサン・チョーク(写真下)など、よく知っている場所の変わり果てた姿がスクリーンに現れると、
なんとも切ない気持ちにさせられる。


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震災とそこからの復興を目指すというストーリーは全体的にシリアスで、
ドラマとしてもリアリティがある。
だが、歌や躍りの詰まったマサラ・ムービー的な雰囲気や、ラメスの好色で剽軽なキャラクターは、
作品をやや軽薄なモノにしてしまっているようにも思える。
ラメスのニサへの思いも、一見純愛のごとく装われているが、
彼が家族を持っていて、なおかつ決して破綻しているというわけではないため、ほとんど共感しにくい。


それでも、ネパールの震災の実情や、複雑な在日ネパール人社会の様子も描かれていて、
興味深い作品であることは確かである。



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映画の終盤では、ネパールのお祭りであるインドラ・ジャットラ(写真上)とラト・マチェンドラナート(写真下)が登場する。
ラト・マチェンドラナートは、従来は春に行なわれるが、
2015年は震災の影響で秋に行なわれた。
そのため、本来は別の時期であるはずのインドラ・ジャットラと同じ時期に実施されている。


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インドラ・ジャットラは、柱を立てるお祭りだが、これを見た北沢は、故郷諏訪の御柱祭を思い出す。
そしてラメスは御柱祭を観るために、再び来日する…。


インドラ・ジャットラと諏訪御柱祭は、共に柱を立てるなど共通する部分が多い。
はるか古代の日本とネパールの繋がりを感じ取ることができて大変興味深いところである。


いずれにせよ「カトマンズの約束」は見ごたえのある映画であった。
2時間という上映時間が短く感じた。
東京での上映は終わってしまったようだが、機会があればぜひ見て欲しい。

しばらくネパールには行っていないが、そろそろまた行きたくなった。
ネパールの人たちがどのように震災を乗り越えたのか、
僕自身の目で確かめたくなった。
(写真はすべて僕自身が2007~09年に撮影したもの)



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