いだてん~最終回~

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2019年の大河ドラマ「いだてん~東京オリムピック噺」が最終回を迎えた。
何でも視聴率は悪かったらしいのだが、僕には大変興味深いドラマであった。
サブタイトルに「東京オリムピック噺」とあるが、昭和の名人と呼ばれた古今亭志ん生(演:ビートたけし)が語る架空の新作落語「オリムピック噺」の語りに乗せて物語が展開する。
物語は日本が初めてオリンピックに参加した1912年のストックホルムオリンピックから、幻となった1940年の東京オリンピックを挟んで、1964年の東京オリンピックまでの約半世紀を描いている。

主人公は前半が日本人初のオリンピック選手となった金栗四三(演:中村勘九郎)。
後半がオリンピック招致に執念を燃やす田畑政治(演:阿部サダヲ)と変わる。
主人公が途中で変わるのは「葵 徳川三代」(2000年)以来となる。
この2人の物語に、後に古今亭志ん生となる美濃部孝蔵(演:森山未來)が絡んでくる。


1964年の東京オリンピック開幕直前と、明治から昭和にかけての物語が交互に描かれていくのだが、これが分かりにくいという批判の原因であった。
確かに、従来の大河ドラマのようによく知られた歴史や人物が主人公で無いため、物語に馴染みが薄い。
車引きの清さん(演:峯田和伸)や女子スポーツに興味を持つシマ(演:杉咲花)といった架空の人物も数多く登場する。
もっとも僕は逆にそういった部分に興味を持ったのである。
特に、日本人のオリンピック参加や、東京オリンピック招致に情熱を燃やす初代体育協会会長の嘉納治五郎(演:役所広司)にインパクトがあった。
これまで嘉納治五郎というと柔道の創始者ということぐらいでしか知らなかったのだが、実は日本のスポーツや体育教育の発展において多大な功績があった人物なのである。

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「いだてん」は1964年という比較的最近の出来事が描かれているため、映画監督の黒沢明(演:増子直純)や市川崑(演:三谷幸喜)、建築家の丹下健三(演:松田龍平)、歌手の三波春夫(演:浜野謙太)らといった最近まで活躍していた人物が登場していた。
“フジヤマのトビウオ”とも称された水泳の古橋広之進を北島康介が演じるというお楽しみもあった。
中でも「いだてん」の国旗監修の吹浦忠正自身の若き日の姿(演:須藤蓮)が登場してきたのには驚かされた。

最終回、1964年東京オリンピック閉会式が終わり、田畑政治は嘉納治五郎の幻からこう問いかけられる。
「これが、君が世界に見せたい日本かね?」
この言葉は日本が軍国主義に突き進み、1940年東京オリンピック返上やむ無しとされる中、田畑が嘉納に問いかけたものである。
「今の日本は、あなたが世界に見せたい日本ですか?」
その時嘉納は何も答えられなかったが、田畑は、「はい。いかがでしたか?」と自信を持って答えている。
この問は来年2020年東京オリンピックを控えている今の日本にも通じるものがある。
果たして今の日本は世界に自信を持って見せることが出来るものだろうか?

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嘉納治五郎は、東京オリンピックの開幕を見ることなく、1936年にIOC総会からの帰路、船上で帰らぬ人となるが、田畑はその嘉納の遺品のストップウォッチを受け取っていた。
そのストップウォッチは、嘉納の死後も時を刻み続けていた…。

田畑がオリンピック組織委員会から去る時、ストップウォッチは後任の岩田幸彰(演:松坂桃李)に受け継がれる。
開会式を前にIOCのブランデージ会長が、岩田のストップウォッチに気づく。
「これはカノーの“鼓動”だ。」「彼がまだ生きている証拠だ。」
東京オリンピックが終わり、ストップウォッチは再び田畑のもとへ返ってくる。

1966年、金栗四三はストックホルムオリンピック55周年の記念式典に招待された。
金栗は1912年大会のマラソンで日射病のため途中棄権している。
記録上はレース中に失踪し行方不明ということになっていた。
式典でトラックを走り、54年ぶりにゴールテープを切る金栗。
「54年8ヶ月3日5時間32分20秒3。日本から来た金栗四三、ずいぶん遅れてのゴールですが、大変な名誉であります。」

その頃、日本では日本水泳連盟名誉会長となった田畑が、水泳選手の記録を計っている時に誤ってストップウォッチのスイッチを押してしまっていた。
嘉納のストップウォッチは、1912年に金栗がスタートした際に押されたまま彼がゴールするのを待ち続けていたのである。


足袋屋の主人・黒坂辛作を演じたピエール瀧が麻薬所持によって逮捕され、三宅弘城に交代するというトラブルがあった。
黒坂は最終回まで登場する重要な役だったのだが、結果的に交代はうまくいったように思う。
終盤には女子バレーボールの鬼監督・大松博文役の徳井義実が脱税で活動自粛という不祥事もあったが、こちらは最後まで出演していた。
次作の大河ドラマは明智光秀を主人公とする「麒麟がくる」。
こちらも、織田信長の妻・濃姫を演じる予定の沢尻エリカが、麻薬所持によって逮捕され降板している。
濃姫役は川口春奈に変更となり、撮り直しのために通常より2週間遅れで放送開始ということになった。
2作連続、出演者の不祥事に見舞われるとは、NHKも災難続きである。
「いだてん」後の予告編には川口春奈がきちんと出演していた。
いずれにせよ、来年の大河ドラマも楽しみである。



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