虹の彼方に~アカデミー賞予想~

いよいよ明日に迫った第92回アカデミー賞の受賞作を予想したいと思う。
昨年は8部門予想を立てて5部門(監督賞、助演男優賞、助演女優賞、長編アニメーション作品賞、外国語映画賞)を的中させたが、今年はそれを超えたい。
特に昨年はメインの作品賞の予想を外しているので、なんとかリベンジを果たしたいところ。

〈作品賞〉
「1917命をかけた伝令」
「フォードvsフェラーリ」
「アイリッシュマン」
「ジョジョ・ラビット」
「ジョーカー」
「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
「マリッジ・ストーリー」
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
「パラサイト 半地下の家族」

今回は9作品がノミネートされた。
前哨戦となる各賞の受賞結果は次の通り。

・ゴールデングローブ賞
(ドラマ部門)「1917命をかけた伝令」
(ミュージカル・コメディ部門)「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・プロデューサー組合賞「1917命をかけた伝令」
・俳優組合賞「パラサイト/半地下の家族」
・放送映画批評家協会賞「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・米国映画批評会議「アイリッシュマン」
・シカゴ映画批評家協会賞「パラサイト/半地下の家族」
・NY映画批評家協会賞「アイリッシュマン」
・LA映画批評家協会賞「パラサイト/半地下の家族」

監督賞にノミネートされていない作品がオスカーを受賞することは珍しいため(過去に5例のみ)、受賞は「アイリッシュマン」「ジョーカー」「1917」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」「パラサイト」のいずれかに絞り込まれる。
もっとも昨年は監督賞にノミネートされていない「グリーンブック」が受賞しているのではあるが…。

「パラサイト」はカンヌ映画祭グランプリ受賞だが、過去にカンヌとオスカーのW受賞は「失われた週末」(1946年米)と「マーティ」(1955年米)の2作しかない。
それになんといっても韓国映画だという弱みがある。
受賞するとすれば国際長編映画賞(外国語映画賞)の方だろう。
昨年も「ROMA/ローマ」が有力視されたが、スペイン語映画という事もあって受賞を逃している。

また、ネット配信が中心のNetflix作品を“映画”と見なすかどうかの論議があり、カンヌ映画祭では2018年から出展が拒否され、スティーブン・スピルバーグも排除するよう呼びかけている。
今回の作品賞候補でも「アイリッシュマン」と「マリッジ・ストーリー」がNetflix作品である。
受け入れられまでにはもう少し時間がかかるかもしれない。

そう考えると作品賞は「ジョーカー」「1917」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」の3作品のどれか。

2009年以降、作品賞の選出方法が変わり、投票する会員はノミネート作品に1位、2位、3位と順位をつけるシステムとなった。
1位票が過半数に達している作品があれば受賞だが、そうでない場合は最下位の作品を除外し、その作品の2位票を加える。
最終的に過半数になるまでこれを繰り返すのだが、こうなると賛否両論わかれる作品は受賞しにくく、万人受けする作品が受賞することになる。
賛否両論ある「ジョーカー」や、監督のクエンティン・タランティーノの素行に批判のある「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」は不利となるのではないか。
というわけで、「1917」の受賞と予想。


〈監督賞〉
ポン・ジュノ「パラサイト 半地下の家族」
サム・メンデス「1917 命をかけた伝令」
マーティン・スコセッシ「アイリッシュマン」
クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
トッド・フィリップス「ジョーカー」

・ゴールデングローブ賞 サム・メンデス「1917命をかけた伝令」
・放送映画批評家協会賞 ポン・ジュノ「パラサイト/半地下の家族」/サム・メンデス「1917命をかけた伝令」
・米国映画批評会議 クエンティン・タランティーノ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・シカゴ映画批評家協会賞 ポン・ジュノ「パラサイト/半地下の家族」
・LA映画批評家協会賞 ポン・ジュノ「パラサイト/半地下の家族」

本命は「1917」のサム・メンデスで揺るぎないところ。
だが2010年代では4回作品賞と監督賞が別の作品となっているので、今回もばらける可能性がある。
昨年Netflix製作のスペイン語映画「ROMA/ローマ」のアルフォンソ・キュアロンが受賞していることから監督賞は「パラサイト」のポン・ジュノあるいは「アイリッシュマン」のマーティン・スコセッシの受賞もあり得るだろう。
また、3度目のノミネートのクエンティン・タランティーノが功労賞的に受賞するという大穴展開も。

今年はグラミー賞でBTSがパフォーマンスを披露したように、アメリカでも韓流のブームがあるようなので、ポン・ジュノの受賞と予想。


〈主演男優賞〉
アントニオ・バンデラス「Pain & Glory」
レオナルド・ディカプリオ「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
アダム・ドライバー「マリッジ・ストーリー」
ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
ジョナサン・プライス「2人のローマ教皇」

・ゴールデングローブ賞
(ドラマ部門)ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
・俳優組合賞 ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
・放送映画批評家協会賞 ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
・シカゴ映画批評家協会賞 アダム・ドライヴァー「マリッジ・ストーリー」
・NY映画批評家協会賞 アントニオ・バンデラス「ペイン・アンド・グローリー」
・LA映画批評家協会賞 アントニオ・バンデラス「ペイン・アンド・グローリー」

主演男優賞は「ジョーカー」のホアキン・フェニックスでほぼ決まり。
可能性があるとすれば、「マリッジ・ストーリー」のアダム・ドライヴァーだろうか。
「スター・ウォーズ」シリーズにも出演するなどこのところ大活躍だ。

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〈主演女優賞〉
シンシア・エリヴォ「ハリエット」
スカーレット・ヨハンソン「マリッジ・ストーリー」
シャーリーズ・セロン「スキャンダル」
レネー・ゼルウィガー「ジュディ 虹の彼方に」
シアーシャ・ローナン「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」

・ゴールデングローブ賞
(ドラマ部門)レネー・ゼルウィガー「ジュディ/虹の彼方に」
・俳優組合賞 レネー・ゼルウィガー「ジュディ/虹の彼方に」
・米国映画批評会議 レネー・ゼルウィガー「ジュディ/虹の彼方に」
・放送映画批評家協会賞 レネー・ゼルウィガー「ジュディ/虹の彼方に」

主演女優賞も「ジュディ」のレネー・ゼルウィガーが本命。
ジュディ・ガーランドの不遇だった晩年を描いた作品だが、ハリウッドから干されていたところから復活を遂げたレネー自身のキャリアと重なり合う。

対抗は唯一の黒人候補である「ハリエット」のシンシア・エリヴォ。
もともとは歌手で、すでにエミー賞、グラミー賞、トニー賞の受賞経験もある。
もしオスカーを取れば、4つの賞を制覇した「EGOT」となる。
EGOTは過去には15人しかいないが、女優ではヘレン・ヘイズ、リタ・モレノ、オードリー・ヘップバーン、ウーピー・ゴールドバーグの4人のみ。
最年少は39歳で達成したジョン・レジェンドだが、33歳のシンシアが今回達成すれば最年少記録を更新することになる。

注目は「ストーリー・オブ・マイライフ」のシアーシャ・ローナン。
レネーは50歳で4度目のノミネート(うち受賞1回)だが、シアーシャは25歳にして同じく4度目のノミネート。
このぶんだと、いずれ最多18回ノミネートのメリル・ストリープに追いつくのでは?

大穴狙いも考えたが、ここは無難にレネー・ゼルウィガー。

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〈助演男優賞〉
トム・ハンクス「A Beautiful Day in the Neighborhood」
アル・パチーノ「アイリッシュマン」
ジョー・ペシ「アイリッシュマン」
ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
アンソニー・ホプキンス「2人のローマ教皇」

・ゴールデングローブ賞 ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・俳優組合賞 ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・米国映画批評会議 ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 
・放送映画批評家協会賞 ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・シカゴ映画批評家協会賞 ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
・NY映画批評家協会賞 ジョー・ペシ「アイリッシュマン」

助演男優賞はとにかく顔ぶれがすごい。
何しろ過去にオスカーを受賞した俳優が4人(トム・ハンクスは2回受賞)。
ノミネートは5人合わせて27回に登る。
そんな中、唯一受賞経験がないのが「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のブラッド・ピット。
(ただし、プロデューサーとして「それでも夜は明ける」で作品賞受賞)
前哨戦でもほぼ無敗で、ブラピにそろそろ受賞させてあげたいところである。

BradPitt.jpg


〈助演女優賞〉
ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
フローレンス・ピュー「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
マーゴット・ロビー「スキャンダル」
キャシー・ベイツ「リチャード・ジュエル」

・ゴールデングローブ賞 ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
・俳優組合賞 ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
・米国映画批評会議 キャシー・ベイツ「リチャード・ジュエル」 
・放送映画批評家協会賞 ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」
・シカゴ映画批評家協会賞 フローレンス・ピュー「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
・NY映画批評家協会賞 ローラ・ダーン「マリッジ・ストーリー」

助演女優賞候補のうち受賞経験があるのは「リチャード・ジュエル」のキャシー・ベイツのみ。
そのキャシー・ベイツと、「マリッジ・ストーリー」のローラ・ダーンの激突となる。
ローラ・ダーンは「ストーリー・オブ・マイライフ」でも母親役を演じているので、そちらの印象もあって有利だろうか。

スカーレット・ヨハンソンは今回主演女優賞(「マリッジ・ストーリー」)と助演女優賞(「ジョジョ・ラビット」)でダブルノミネートされているが、以外にも35歳にして初ノミネート。
過去に主演賞と助演賞のダブルノミネートされた例は8回あるが、うち4回はいずれかで受賞している。
「黒蘭の女」(1938年米)のフェイ・ベインター、「ミニヴァー夫人」(1942年米)のテレサ・ライト、「トッツィー」(1982年米)のジェシカ・ラングはいずれも助演賞の方を受賞。
主演賞を受賞したのは「ピアノ・レッスン」(1993年仏ニュージーランド豪)のホリー・ハンターのみ。
スカーレットの場合も受賞するなら助演女優賞だろう。

1つぐらい大穴を狙ってスカーレット・ヨハンソンの受賞と予想する。

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〈国際長編映画賞〉
「レ・ミゼラブル」(フランス)
「Honeyland」(北マケドニア)
「Corpus Christi」(ポーランド)
「パラサイト 半地下の家族」(韓国)
「Pain and Glory」(スペイン)

今回から外国語映画賞の名称が変更となったが、昨年の「ROMA/ローマ」に続き、今年も「パラサイト」が2年連続作品賞とダブルノミネート。
しかも受賞の有力候補となっている。
そろそろこの賞のあり方をも見直すべきなのではないだろうか。

いずれにせよ受賞は「パラサイト」でほぼ間違いないだろう。
史上初の作品賞とのダブル受賞もあり得る。


〈長編アニメーション映画賞〉
「ヒックとドラゴン 聖地への冒険」
「失くした体」
「Missing Link」
「トイ・ストーリー4」
「クロース」

話題の「アナと雪の女王2」がノミネートを逃し、歌曲賞のみの候補となった。
それもあって、ディズニーとしてはなんとしても「トイ・ストーリー4」でを受賞させたいところ。

しかしながら、アニー賞は「クロース」が、ゴールデングローブ賞は「Missing Link」が受賞している。
しかもオスカーではディズニー作品が賞を逃すことも多いので、「トイ・ストーリー4」も盤石とはいえない。

予想は「クロース」にしたい。


もう一度受賞の予想を挙げると…

作品賞:「1917命をかけた伝令」
監督賞:ポン・ジュノ「パラサイト/半地下の家族」
主演男優賞:ホアキン・フェニックス「ジョーカー」
主演女優賞:レネー・ゼルウィガー「ジュディ/虹の彼方に」
助演男優賞:ブラッド・ピット「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
助演女優賞:スカーレット・ヨハンソン「ジョジョ・ラビット」
国際長編映画賞:「パラサイト/半地下の家族」
長編アニメーション映画賞「クロース」

果たして僕の予想はいくつ当たっているか。
明日2月10日の授賞式を楽しみに待ちたい。



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