エデンの東~創世記3~

エデンの園を追放されたアダムとエバには最初の子供カインが誕生。
次いで、その弟アベルが生まれた。
カインは土を耕し、アベルは羊を飼う者となった。
時が経ち、カインは土の実り、アベルは羊の初子を神に献げたが、神はアベルの献げ者しか受け取らなかった。
嫉妬したカインはアベルを殺してしまう。(創世記4)

CainAbel.jpg

(上の絵はティントレット「カインとアベル」)
カインは弟アベルを殺したことで人類最初の殺人者となった。
原因は神がアベルだけを依怙贔屓したことにあるのだが、なぜそうなったのかいろいろな意見がある。
イスラエルの民はもともと遊牧民であったため、神が遊牧民であるアベルの方を愛したのだとか。
あるいはそれ以前にカインが何かよからぬことをしたとか…。
映画「天地創造」(1966年米/伊)では、カインが献げ物を出し惜しみしたことが理由とされている。
いや、そもそも神がアベルを愛したのは神自身の意志であり、その理由は人間の及ぶべき事ではないということを表しているとの説もある。


いずれにせよアベルを殺した罪によってカインはその地を追われ、地上をさ迷う事となった。
カインは「わたしに出会う者はだれであれ、わたしを殺すでしょう。(創世記4.14)」と神に訴えてるが、
神は「いや、それゆえカインを殺す者は、だれであれ七倍の復讐を受けるであろう(創世記4.15)」と答えている。
やがてエデンの東ノドの地にたどり着いたカインは「妻を知った(創世記4.17)」。
(下の絵はルーベンス「アベルを殺すカイン」)

CainAbel2.jpg

ここで僕には大きな疑問が浮かんだ。
以前宗教の勧誘の人を困らせた疑問である。
カインと「出会う者」って誰だ? 「妻」って誰だ?
というのもこの時点では全世界に存在する人類はアダム一家しかいないはずである。
そうなるとそれらの人たちもカインの弟や妹とその子孫でしかあり得ない。
アダムが930歳まで生きていたように当時の人類は長命であった。
だからカインも相当長い年月地上をさ迷い、その間に彼の兄弟の子孫が増え各地に広まっていったと考えることも出来る。
もっともカインが追放された時点では、彼の行き先に他に人はいなかったはずだから、
カインが出会う者に殺されることを恐れているのは不自然である。


いったいどういうことなのだろうか…。
ひょっとしたらこの当時、アダム一家以外にも人類が存在していたということなのかもしれない。
日本の「古事記」では、最初に地上に降りたイザナギ尊とイザナミ尊が天皇家の先祖として描かれている一方、それとは別に人類が存在しているようなのだ。
聖書が描いているのはあくまでイスラエル人の歴史であるため、
信仰のないイスラエル人以外は人とは認めてられておらず、聖書にも描かれなかったのかもしれない。


あるいは、当時は人類に似ていても人類ではない―ネアンデルタール人あるいは「はじめ人間ギャートルズ」のような“はじめ人間”たちが別にいたのかもしれない。
そんなギャートルズであれば、カインが恐れていたことも納得できる。
カインの妻も元はギャートルズだったのかもしれない。

Gyatorus.jpg


このカインとアベルの確執というものはその後も多くの文学に取り入れられた。
ジェフリー・アーチャーの小説「ケインとアベル」はテレビドラマ(1985年米)にもなった。
また、2016年には日本で「カインとアベル」というドラマが放送されている。
ジョン・スタインベックの小説でジェームズ・ディーン主演で映画化(1955年米)された「エデンの東」も有名である。

“エデンの東”とは、神に追放されたカインがたどり着いたノドである。
カインはこの地で息子エノクを設けている。


有島武郎の小説「カインの末裔」(1917年)はそんな罪を負った人の姿を描いている。
主人公の廣岡仁右衛門は北海道で働く農夫であるが、カインの業の故か、すべてを失い荒野をさ迷っていく…。
奥秀太郎監督の映画「カインの末裔」は、その有島の小説をヒントに、現代の川崎を舞台として展開する。
15歳で母親を殺し少年院で10年を過ごして出所した主人公が、一見善良そうな人々が織りなす不条理の中に埋もれ破滅していく…。
どちらも共に救いのない結末である。
カインの末裔は今なお浮かばれることのない人生を送っているのであろうか。

聖書において「カインの末裔」とされているのは、カインの6代目の子孫に当たるヤバル、ユバル、トバル・カイン、ナアマの兄弟である。
カインは神から「土を耕しても、土はもはやお前のために作物を生み出すことはない。お前は地上をさまよい、さすらう者となる(創世記4.12)」と告げられた。
そのこともあって、カインの子孫は農業でなく様々な技能を身に着ける。
ヤバルは家畜を飼う遊牧民、ユバルは竪琴や笛を奏でる演奏家、トバル・カインは道具を作る鍛冶屋の始祖となった…。

しかし残念ながら、これらのカインの末裔の技能は現代には受け継がれず途絶えてしまったようである。
というのも、カインの弟セトの8代目の子孫ノアの時代に大洪水で人類は滅びているからだ。



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