ソドムとゴモラ~創世記6~

創世記12章から主人公はアブラハムとなる。
アブラハムはノアの10代目の子孫であり、イスラエル民族(ユダヤ人)の族長(開祖)である。
つまり彼によってイスラエル人の歴史が始まったことになり、創世記のここからの記述は“神話”でなく“歴史”となる。
言わばアブラハムは聖書における神武天皇のような存在であるようだ。


アブラハムはもともとは「アブラム」と言った。
神の啓示を受け、妻のサライ(後のサラ)、甥のロトらと共に約束の地カナン(パレスチナ)を目指して旅立つ。(創世記12)

BassanoAbraham.jpg

(上の絵はバッサーノ「アブラハムの出発」)
聖書によると旅立った当時アブラムは75歳、妻のサライは65歳であったとされているが、これらの年齢はどうにもおかしい。
後々の物語を考えると、実際の年齢はその半分ぐらいだったように思われる。
例えばサラはその後エジプト王から「大変美しい(創世記12.14)」と思いを寄せられるのだが、これが65歳の老婆だとするとちょっと不自然である。
サラはその後も90歳の時に神の予言で息子イサクを産んでいる。
サラは神の予言を聞いて「自分は年をとり、もはや楽しみがあるはずもなし(創世記18.12)」と考えているのだが、実際の年齢が45歳だったなら出産も決してあり得ない話ではない。


いろいろと苦労があった末にアブラム一行はカナンへたどり着いた。
旅の途中で甥のロトは一行と分かれてソドムに住むこととなる。
エラム王ケドルラオメルがソドムを攻略した際、ロト一家は家財もろとも捕虜となるが、アブラムによって救出されている。(創世記13~14)

アブラムはロトを救出するために訓練を受けた奴隷318人を組織し、ケドルラオメルたちに夜襲をかけて撃退した。
これをもって、イスラエル軍の始まりとする説がある。


アブラハムのエピソードの中で最も印象的なのは、ソドムとゴモラの滅亡であろう。
アブラムの前に神の使者が現れ、重い罪ゆえにソドムとゴモラの町を滅ぼすことを告げる。(創世記18~19)

ソドムとゴモラの罪が何であったのかははっきりしないのだが、それは同性愛のような乱れた性であったように思われる。
というのも2人の神の使いがロトを救い出すためにソドムを訪ねた際に、町の人々は「今夜、お前のところへ来た連中はどこへいる。なぶりものにしてやるから(創世記19.5)」と叫んでいるからだ。
今日同性愛のことを“ソドミー”と呼ぶのはこのエピソードに基づいている。
(下の絵はファン・レイデン「ロトとその娘たち」)

LotDaughters.jpg

神の使いの導きでロト一家がソドムの町を脱出すると、天から硫黄の火が降り、町は滅びた。
逃げる際に後ろを振り返ってはいけないと言われていたが、ロトの妻は振り返ってしまったために塩の柱と化してしまう。
映画「天空の城ラピュタ」(1986年スタジオジブリ)ではラピュタの兵器がソドムとゴモラを滅ぼしたということになっているが、一説には核兵器であり、ロトの妻が塩の柱となったのも放射能の影響だという。


アブラムは99歳の時に神から「アブラハム」という名を与えられた。
“多くの民の父”という意味で、やがて彼の子孫がイスラエル民族となって発展していく。


ところで童謡「アブラハムの子」では、「♪アブラハムには7人の子 1人はのっぽであとはちび…」と歌われている。
聖書によるとアブラハムには側室ハガルとの間にイシュマエル、正妻であるサラとの間にイサク、後妻ケトラとの間にジムラン、ヨクシャン、メダン、ミディアン、イシュバク、シュアを設けている。
全部で8人いるが、このうちイシュマエルは、サラによって母ハガルと共に砂漠に追放されてしまっているからノーカウント。
残る子供のうちイサクだけ歳が離れているため、「一人はのっぽ」と言われているのだろう。
童謡に目くじらを立てる必要はないのだが、「♪みんな仲良く暮らしてる…」と能天気に歌っているその頃、長男イシュマエルは砂漠で辛酸をなめていた。

しかし、アブラハムの死後彼の遺体を埋葬したのはイシュマエルとイサクであったと聖書には記されているから、
サラの死後イシュマエルとイサクは和解していたようである。
イスラム教ではイシュマエルの子孫がアラブ人になったとされる。
そのためイスラエルとアラブの対立の原因というのも、イシュマエルとイサクの確執にまで遡るという説がある。
しかし当の本人たちはとっくの昔に和解しているのだから、子孫たちも平和裏に対立を解決できないものであろうか。



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