ノマドランド~アカデミー賞授賞式~

新型コロナウィルスの流行で2ヶ月遅れとなったアカデミー賞(オスカー)授賞式。
今年は例年とかなり趣向が違う授賞式であった。


例年であれば、授賞式の中で歌曲賞ノミネート曲が披露されるなど、授賞式自体がエンターテインメント性が高い。
ところが今年はそうした演出は授賞式の中では行なわれなかった。
授賞式に先立って行なわれた特別番組の中でまとめて録画という形で披露された。


授賞式は例年のコダック・シアターではなく、ロサンゼルスのユニオン駅でこじんまりと行なわれた。
観客はなく、出席者はノミネートされた映画人のみ。
また、司会は設けず、プレゼンターが候補者の紹介も併せて行うのだが、
作品名と候補者名を挙げるだけで、一部の賞を除いて作品の映像が流れることが無いため、作品のイメージがつかめない。
正直つまらないという印象だった。
そのため授賞式も淡々と進んだ。


最初の脚本賞と脚色賞のプレゼンターとして登場したレジーナ・キングは、候補者の人となりをユーモアたっぷりに紹介した。
どうやら今回の授賞式は、かなりプレゼンターの采配に任されているようだ。

「プロミシング・ヤング・ウーマン」のエメラルド・フェネルが脚本賞を受賞。
ディアブロ・コーディが「JUNO/ジュノ」(2007年)で受賞して以来の女性脚本家となる。
フェネルは監督賞にもノミネートされている。


「マ・レイニーのブラックボトム」でメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞したミア・ニールとジャミカ・ウィルソンは、黒人女性として初の同賞受賞。
このところ多様化しているオスカーだが、今年もその傾向は続きそうだ。


助演男優賞も黒人の「ユダ&ブラック・メシア」のダニエル・カルーヤに決まった。
2994e185db19894eb33d3a1252d5d308407707e6_xlarge.jpg

ジーン・ハーショルト友愛賞を受賞したのは映画・テレビ基金(MPTF)。
この賞は映画界の人に援助を差し延べる映画救済基金の会長を務めたジーン・ハーショルトに因み、映画業界全体の発展に顕著な功績のあった人物に対して贈られる。
MPTF は高齢の元映画関係者を対象とした介護施設や住宅施設を支援する活動を行なっており、個人でなく組織が同賞を受賞するのは初めてとなる。


昨年「パラサイト」で韓国人初のオスカー受賞となったポン・ジュノ監督が監督賞を発表。
「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督に。
中国出身でアジア系女性として初の監督賞受賞。
これで2年連続アジア人が監督賞となった。

aa839e45ed2b47d0f805bd4d63811a08641409da_xlarge.jpg

長編アニメ映画賞は「ソウルフル・ワールド」へ。
昨年の「トイ・ストーリー4」に続き2年連続でディズニーが同賞を受賞した。


1987年に「愛は静けさの中に」(1986年)でアカデミー主演女優賞を受賞したマーリー・マトリンがドキュメンタリー賞のプレゼンターで登場。
聴覚障害者なので、手話で受賞者を発表した。
個人的には長編ドキュメンタリー映画賞を受賞した「オクトパスの神秘/海の賢者は語る」が面白そう。


昨年助演男優賞受賞ののブラッド・ピットが助演女優賞を発表。
受賞したのは「ミナリ」の韓国人女優ユン・ヨジョン。
アジア人女優のオスカー受賞は、1957年の「サヨナラ」でのミヨシ梅木(ナンシー梅木)以来64年ぶりの快挙。
やはり、多様化オスカーである。
8度目のノミネートのグレン・クローズはまたしても涙を飲んだ。

途中で、歌曲賞クイズがあった。
過去の映画主題歌を流して、その曲がアカデミー賞を受賞したかどうかを場内の人に質問するというもの。
内輪の盛り上りという感じでどうにも白けてしまった。

昨年亡くなった映画人を追悼するコーナー。
今年はショーン・コネリーら多くの映画人が亡くなったが、人数が多すぎるのか写真が切り替わるのが早すぎた。

今回の授賞式では驚くべき演出があった。
それは、クライマックスである作品賞を主演賞の発表より先に持ってきたのである。
いったいその意図はなんなのか。
プレゼンターは「ウエスト・サイド物語」で助演女優賞受賞のリタ・モレノ。
作品賞を受賞したのは「ノマドランド」だった。


「ノマドランド」はフランシス・マクドーマンドが主演女優賞も受賞。
これで3部門制覇である。
マクドーマンドもこれで3度目の主演女優賞受賞。
今回はプロデューサーとして作品賞も受賞している。

oscar93_francesmcdormand_202104_01.jpg

トリとなったのが主演男優賞。
同賞を最後に持ってきたのは、「マ・レイニーのブラックボトム」のチャドウィック・ボーズマンの受賞が有力視されていたからではないかと言われている。
ボーズマンは昨年8月、大腸癌のため43歳で亡くなっており、没後ノミネートとなっていた。
もし受賞すれば2008年の「ダークナイト」で助演男優賞を受賞したヒース・レジャー以来の快挙となる。

ところが受賞したのは「ファーザー」のアンソニー・ホプキンスであった。
ホプキンスは「羊たちの沈黙」(1991年)以来29年ぶりの主演男優賞受賞となった。
83歳というのは「黄昏」(1981年)のヘンリー・フォンダを上回る最年長受賞記録である。
しかしながら、ホプキンス自身は授賞式を欠席。
故郷のウェールズにいたらしいが、おそらく受賞は本人にとっても予想外だったのだろう。
そのため、授賞式の最後に受賞スピーチがなく、なんとも締まらないものになってしまった。


アメリカではアカデミー賞の中継の視聴率が史上最低だったというが、それもむべなるかな。
ここ数年オスカーの授賞式の中継を観ているが、これまでで一番つまらかった。
もちろん新型コロナウィルスという未曾有の出来事があるのはわかるが、もう少し見せ方をどうにか出来なかったものだろうか。
来年にはきっとコロナも収束し、元のようなオスカー授賞式を観ることが出来ると期待しよう。


以下は全受賞作。
〈作品賞〉
「ノマドランド」

〈監督賞〉
クロエ・ジャオ「ノマドランド」

〈主演男優賞〉
アンソニー・ホプキンス「ファーザー」

〈主演女優賞〉
フランシス・マクドーマンド「ノマドランド」

〈助演男優賞〉
ダニエル・カルーヤ「ユダ&ブラック・メシア」

〈助演女優賞〉
ユン・ヨジョン「ミナリ」

〈脚本賞〉
「プロミシング・ヤング・ウーマン」

〈脚色賞〉
「ファーザー」

〈長編アニメ映画賞〉
「ソウルフル・ワールド」

〈国際長編映画賞〉
「アナザーラウンド」

〈長編ドキュメンタリー映画賞〉
「オクトパスの神秘/海の賢者は語る」

〈短編ドキュメンタリー映画賞〉
「Collete」

〈短編映画賞〉
「隔たる世界の2人」

〈短編アニメ映画賞〉
「愛してるって言っておくね」

〈美術賞〉
「Mank/マンク」

〈撮影賞〉
「Mank / マンク」

〈衣装デザイン賞〉
「マ・レイニーのブラックボトム」

〈メイクアップ&ヘアスタイリング賞〉
「マ・レイニーのブラックボトム」

〈作曲賞〉
「ソウルフル・ワールド」

〈歌曲賞〉
「Fight  for You」(「ユダ&ブラック・メシア」)

〈音響賞〉
「サウンド・オブ・メタル/聞こえるということ」

〈視覚効果賞〉
「TENET/テネット」

〈ジーン・ハーショルト友愛賞〉
タイラー・ペリー
映画&テレビ基金



ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!

ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。

→ログインへ

なるほど(納得、参考になった、ヘー)
驚いた
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)
かわいい

気持玉数 : 0

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック