JIN~新型コロナウィルスワクチン~

日本でも高齢者を対象とした新型コロナウィルスワクチンの接種が始まった。
今後一般の人への接種は早ければ7月中に始まるとのことだが、果たしていつになるだろうか。


正直、ワクチンに不安がないわけではない。
何でもワクチン接種後には倦怠感や不快感、高熱などの副作用が見られることがあるという…。
そうなると接種の翌日も静養しなくてはならない可能性があるから、忙しい人はどうしてもワクチン接種をためらってしまう。


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萩生田光一・文科相は学校教職員がワクチン接種を優先できないかということを、河野太郎・行政改革担当相に提案したという。
「多くの児童生徒に日常的に接する教職員の感染を防ぐことは大事だ」からだという。
今後、医療従事者や高齢者への接種が完了する見通しとなれば、その後は学校の体育館などが接種会場として想定されるという。
その際に所属する教職員や生徒、学生への同時接種を検討していることである。
なるほど、これなら教員もワクチンを接種しやすいのではないだろうか。
「#教師のバトン」で明らかになったように、教員はただでさえ時間がない。
ワクチン接種が理由で2日も休むことになるのでは、接種を控えようという教員も多いだろう。
せめてワクチン接種は休暇を使わなくても良いようにしてもらいたい。



SMILE~東京オリンピック中止?~

2020東京オリンピックの開幕まで2ヶ月強に迫った。
しかし、新型コロナウィルスの猛威は衰えず、
開催都市の東京には緊急事態宣言が出されたまま。
果たして本当にオリンピックは実施されるのであろうか?

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僕自身の考えは、東京オリンピックは中止とすべきというものである。
すでに海外からの観客は受け入れないと決定しているが、たとえそうであっても、国内の観客が東京に集まれば、感染者は爆発的に増えるだろう。
当然、選手たちに感染するリスクもある。


菅首相は東京オリンピックを「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証し」としたいと発言しているが、
収束の目処すらついていない現状での開催は無謀でしかない。
ネット上である人が言っていたが、
遠くに津波が見えているのに、イベントの準備を進めているのと同じではないか。
ひょっとしたら届かないかもしれない?
あるいは逸れてくれるかもしれない?
いや、まずは逃げるのが先だろう。


支持率が低迷する菅首相にとっては、オリンピックで支持率をあげて、その勢いで総選挙に持ち込みたいところ。
都議選を控える小池百合子都知事にとっても同様である。
噂によると小池都知事はオリンピック中止を決定してから、その責任を取る形で都知事を辞職。
国政返り咲きを計るつもりなのではないかとも囁かれている。
オリンピックを政争の道具にすることは決してあってはいけないことだ。


世論調査によると、約6割の人がオリンピックの開催に反対しているという。
来年2022年に延期するのか、あるいは2024年に実施し、それ以降のオリンピックを4年ずつ後ろにずらすのか…。
今回のオリンピックを中止する代わりにまだ開催都市の決まっていない2032年に東京で開催するという案も出ているようだ。


僕はもういっそのこと、これを機にオリンピック自体を廃止しても良いと思っている。
このブログでも以前から何度か書いているように、僕はもともとオリンピックそのものが不要だと考えているからだ。


今はオリンピックを必要とする時代では無くなっているのではないだろうか。

クーベルタン男爵が1896年に近代オリンピックを立ち上げてから120年…
まさかその終焉に立ち合うことになるとしたら、なんとも不思議な気持ちである。



おちょやん~連続テレビ小説~

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NHKの連続テレビ小説「おちょやん」が5月14日最終回を迎えた。
早稲田大学応援歌「紺碧の空」を作曲した古関裕而がモデルだった前作「エール」を見ていたので、その流れで「おちょやん」も観ていたのだが、奇しくも2作連続で大正・昭和の大衆芸能がテーマの作品が続いた。
そのおかげで僕も大変興味深く観る事が出来た。


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「おちょやん」の主人公・竹井千代(演:杉咲花)のモデルは女優・浪花千栄子である。
浪花千栄子というと、彼女の写真が使われたオロナイン軟膏の看板(写真上)は僕も覚えている。
ドラマは幼くして大阪・道頓堀の芝居茶屋に奉公に出た千代が、映画・演劇の世界に入っていく様子が描かれた。
松竹がモデルの鶴亀で大部屋女優となった千代は、社長の命で道頓堀で立ち上げられた鶴亀家庭劇の旗揚げに加わる。
鶴亀新喜劇は、やがて「須賀廼家万太郎一座」と人気を二分するようになり、第二次大戦後に「鶴亀新喜劇」となる。


千代は鶴亀新喜劇の看板女優として人気を博するようになる。
ところが千代の夫で座長の天海天海(演:吉沢亮)は劇団の若い女優・灯子(演:小西はる)との間に子供を設けてしまう。
千代は天海と離婚し、道頓堀を去っていった。


1年後、千代は人気漫才師の花車当郎(演:塚地武雅)に請われ、ラジオドラマ「お父さんはお人好し」のお母さん役として復帰。
再び人気女優となった。
最終回では千代が再び鶴亀新喜劇の舞台に立ち道頓堀に帰って来る。
「お父さんはお人好し」の舞台化・映画化の話も進み、千代が人気女優となっていくことが予感される。



僕はこれまで女優・浪花千栄子や松竹新喜劇についてほとんど知らなかったのだが、
この「おちょやん」をきっかけに、ちょっとだけ大衆演劇について調べてみた。
どうやらかなり史実に忠実であるようだ。

鶴亀新喜劇のモデルはもちろん「松竹新喜劇」であり、
千代の夫の天海天海は2代目・渋谷天外、彼らのライバルで昭和の爆笑王と呼ばれた須賀廼家万太郎(演:板尾創路/写真下)のモデルは曾我廼家五郎である。
ドラマには天外の息子の3代目・渋谷天外が撮影所の守衛役で出演している他、
現在の松竹新喜劇の俳優たちがところどころに顔を見せているのもお楽しみであった。


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主人公・千代のモデルとなった浪花千栄子についても、それほどよくは知らなかったが、
中村錦之助 (萬屋錦之介)主演の「宮本武蔵」シリーズ(1961~65年東映)のお杉役や、黒澤明監督「蜘蛛巣城」(1957年東宝)の物の怪の妖婆役などは印象に残っている。
これを機に他の作品も見直してみようかなと思う。



夜に駆ける~緊急事態宣言延長~

東京都に出されていた緊急事態宣言が5月12日から5月31日まで延長された。
僕は宣言が出された当初から、5月11日での解除は難しいだろうと考えていた。
延長になったのは予想通りだったが、果たしていつまで続くことになるのだろうか。


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都立高校は、緊急事態宣言の発令を受けて分散登校となっていたが、それも引き続いて行なわれている。 
僕の勤務校の場合、高3は通常通り毎日登校するが、高1と高2は1日おきに交互に登校することになっている。
つまり、学校にいるのは常に全校生徒の2/3となるわけだ。
5月中に予定されていた中間試験も、3年生は全教科実施されるが、1・2年生は教科を減らして半分の日程で行なわれる。
このまま分散登校が続けば、昨年のように夏休みが短くなることも考えられる。


授業が減らされる一方で、部活動は制限付きだが行なわれている。
公式戦が近い部活動に限り、出場選手のみ活動が出来るということになっているが、
今はちょうど大会シーズンでもあることから、かなりの数の部が活動を行なっている。


正直これでは、新型コロナウィルスの感染者数を減らすことにはならないだろう。
最近では朝の電車も、新型コロナの流行の前と同じぐらい混雑している。
だいたい緊急事態宣言も3回目ともなれば、すっかり慣れてしまって危機意識が低い。


もし本気で新型コロナウィルス感染者数を減らしたいのであれば、
これまで以上に厳しくしなくてはならないのではないか。
僕は以前から緊急事態宣言を出すのなら都内の公立学校は全て臨時休業にすべきだと考えている。
児童・生徒96万人の動きを止めることが出来るばかりか、保護者のリモートワークを促す事が出来る。
なによりも東京都が本気である事を示すことになるからだ。
実際、公立学校が休業となった昨年4~5月の最初の緊急事態宣言では、都内の感染者数は1桁にまで減らすことが出来ている。


そろそろ何か手を打たなければ、新型コロナウィルスはいつまでも収束しないだろう。



華の乱~鬼滅の刃研究5「時代背景編」~

「鬼滅の刃」の物語は大正時代である。
大正時代というと1912年7月30日から1926年12月25日までの15年間であるのだが、「鬼滅の刃」に描かれているのは具体的にはいつになるのだろうか。


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そのヒントとなるのは、藤襲山での最終選別の際に登場した手鬼のセリフにある。
手鬼は竈門炭治郎に「今は明治何年だ」と問う。
炭治郎が「今は大正時代だ」と答えると、手鬼は「アァアアア、年号がァ!!年号が変わっている」と慌てる。
「忘れもしない四十七年前(略)江戸時代・・・慶応の頃だった」


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慶応時代は1865年から4年間続いているため、
慶応から47年後は大正元年~4年ということになる。

炭治郎は鬼に家族を殺されてから、狭霧山の鱗滝左近次のもとで2年間修行しているため、
物語の始まりはその2年前、明治43年~大正2年のどこかだ。

単行本2巻のあらすじに「時は大正。」とあることから、一般的には物語開始時点で既に大正だったと考えられている。
第1話で雪が積もっており、炭治郎が「正月になったらみんなに腹いっぱい食べさせてやりたいし」と語っていることから、物語の始まりは大正元年末、もしくはその翌年ということになり、
最終選別があったのは大正3年もしくは4年となる。


ただ僕は、物語の始まりが明治であった可能性もあるように思っている。
というのも、手鬼は炭治郎に聞くまで大正への改元を知らなかったからである。
改元を知らなかったということは、炭治郎の受けたこの時の最終選別が、大正になってから行なわれた初めての選別だった可能性がある。
もしこの最終選別が大正3~4年であったとすると、少なくとも2~3年間最終選別が実施されていないことになる。
鬼殺隊が数百人規模の隊士を維持するためには年に複数回最終選別が行なわれていなければならないのだが、
それが2、3年もの間行なわれないということがあり得るのだろうか?


「鬼滅の刃」本編には大正への改元を示す描写は一切出てこないが、
炭治郎は改元のあった時ちょうど山奥で修行の最中であったのだから、知らなくても何の不自然もない。


もちろん、この2、3年、選別の参加者が誰も手鬼とは遭遇しなかった可能性もある。
あるいは問答の間もなく殺されてしまったのかもしれない。
いや、ひょっとしたら最終選別は必ずしも藤襲山で行なわれるわけではなく、他の会場を使っているのかもしれない。


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冨岡義勇は後に「あの年の選別で死んだのは錆兎一人だけだ」と炭治郎に語っている(15巻130話)。
まるで選別が年に1回しか行なわれていないかの口ぶりである。
ひょっとしたら藤襲山で最終選別が行なわれるのは年に1回だけで、残りの数回は他の会場を使っていたということなのかもしれない。
だとすれば、大正元~2年に藤襲山で最終選別が行なわれていなかったとしても決して不思議なことではない。



ふれてごらん~鬼滅の刃研究4「最終選別編」~

鬼殺隊の隊士になるためには、「最終選別」を突破しなくてはならない。
その最終選別は、藤襲山で行なわれる。
1年中藤の花が咲き乱れている山だという…。
藤襲山には鬼殺隊によって捕らえられた鬼たちが閉じ込められているが、鬼は藤の花の匂いを嫌うため、藤襲山から出てくることは出来ない。


最終選別というのは、この藤襲山で7日間を生き延びるというものである。


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竈門炭治郎は、他の20人の少年たちと最終選別に挑んだ。
山の中で襲ってくる鬼たちを倒す炭治郎。
そこに襲いかかってきたのは全身に無数の手を生やした異形の鬼(声:子安武人)。
後に“手鬼”と呼ばれている。
手鬼は炭治郎が鱗滝左近次に魔除けとして与えられた狐の面に気づく。
手鬼は47年前に鱗滝によって捕らえられており、復讐のために鱗滝の弟子を食べることに執拗にこだわっていた。
すでに13人の弟子が手鬼によって殺されており、その中には炭治郎を助けた錆兎と真菰も含まれていた。


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水の呼吸を習得した炭治郎は苦戦するも手鬼を撃破。
手鬼は炭治郎に手を握られると、大好きだった兄と手を繋いだことを思い出し、涙を流しながら消えていった…。


かくして炭治郎は7日間の最終選別を生き延びることに成功。
鬼殺隊士としての第1歩を踏み出すことになる。
この時の最終選別の合格者は20人中わずか5人。
炭治郎の他に我妻善逸(声:下野紘)、栗花落カナヲ(声:上田麗奈)、不死川玄弥(声:岡本信彦)、そしていち早く山を降りた嘴平伊之助(声:松岡禎丞)だけだった。
炭治郎たちには鬼殺隊士となった証として隊服、伝令係となる鎹鴉(かすがいがらす)、日輪刀の原料となる玉鋼選択が支給された。


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この最終選別であるが、よくよく考えるとかなり酷いものである。
藤襲山に閉じ込められているのは人を2~3人しか食っていない“雑魚鬼”であるとはいえ、
普段から人は来ないだろうから、誰もが人を食いたくてうずうずしているはずである。
そんな中に、訓練を受けたとはいえ、隊士見習いを放り込むのである。
炭治郎たちの最終選別では20人中わずか5人しか合格しなかったが、
その事を聞いた鬼殺隊の指導者“お館様”産屋敷輝哉(声:森川智之)は「五人も生き残ったのかい。優秀だね。また私の剣士(子供たち)が増えた。」と言っている。
ということは、通常の最終選別における合格率はもっと低いのである。
炭治郎を始め、鬼殺隊士の多くは家族を鬼に殺されている。
中にはたった1人生き残った子供であることもあるだろうが、せっかく生き残ったのに最終選別で死ぬことになるのではその無念さ余りある。
もっと違った形の選別方法はないのだろうか…。


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鬼殺隊は数百人の規模で存在している。
那田蜘蛛山での下弦の陸・累との戦いでは数十人が犠牲になっていることを考えると、
毎年採用されるのが4人以下では補充が追いつかない。
年に数回最終選別が行なわれていなければならない。
仮に年4回実施され、毎回20人程度が参加しているとする。
すると毎回15人以上、年間で60人以上が不合格になっていることになる。
下手をすると、正規の隊士よりも死亡率が高いのではないか。


お館様が最終選別の参加者について把握していないとは思えないが、
その発言は最終選別での犠牲者を全く気にしていないかのようなそぶり。
お館様は後に隊士が死ぬたびに、「これ以上子供たちの犠牲を出したくない」とつぶやくが、
見習いの犠牲に関してはまったく勘定に入れていないようなのだ…。


いやひょっとしたら、最終選別では見習いの死者は実はそんなに多くないのかもしれない。
よくよく考えてみると、何もない山で7日間生き延びるというのは、例え鬼がいなかったとしても難しい。
そもそも寝床や食料はどうしたのだろうか?
炭治郎たちがそれらを持って山に入ったというような描写はない。
食料や水を確保出来なければ、鬼に出会う前に衰弱死してしまう。
中学3年生が殺し合う「バトル・ロワイヤル」でさえ、期限は3日間、食料や水は支給されていたから、
最終選別はある意味それよりも苛酷である。
最終選別では剣士としての力量ばかりかサバイバル能力までもが求められている。
もともと山育ちの炭治郎や伊之助にとってはさほど大変ではなかったのかもしれないが、
牛込(現・新宿区)生まれの我妻善逸や京橋(現・中央区)生まれの不死川兄弟のような都会育ちの参加者もいる。


だから最終選別では、7日を待たずに山から逃げ出した参加者が多かったのかもしれない。
死者よりも逃亡者の方が多いのなら、お館様の言葉もさほど問題にはならない。
(それでも死亡した参加者についての言及がないのは問題である。
炭治郎たちが参加した最終選別でも、少なくとも1名が手鬼によって殺されている。)


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確かに最終選別の開始時、参加者たちは産屋敷家の兄妹から「この中で七日間生き抜く。それが最終選別の合格条件であります。」との説明を受けただけだ。
鬼を殺せとは一言も言われていない。
もし仮に鬼を1人も倒さなくても、7日間ずっと山の中で隠れたり逃げまくっていれば鬼殺隊士になることが出来る。
実際、冨岡義勇や村田らが参加した最終選別では、錆兎がほとんどの鬼を倒してしまったため、手鬼に殺された彼以外の参加者は全員が生き延び合格している。



鬼の強さは人を食った人数に比例する。
子供を50人以上食った手鬼は、錆兎が殺されたことからもわかるように見習い隊士にとってはかなりの難敵であった。
炭治郎でさえ、並外れた嗅覚などの特殊能力が無かったら殺されていたかもしれない。

鬼は参加者に斬られる他、共食いをするという性質がある。
したがって藤襲山には定期的に鬼を補充する必要がある。
最終選別で炭治郎に助けられた見習いも、「(ここには)人間を二・三人喰った鬼しか入れてないんだ」と語っていることから、
事前にそう説明を受けていたものと思われる。
鎹鴉を用いるなど、鬼殺隊の情報網を考えれば、彼らが手鬼の存在を把握していなかったとは考えにくい。
すると、鬼殺隊は意図的に手鬼を放置していたのではないか。


確かに手鬼が食った子供の数50人というのは膨大に思えるが、
手鬼は47年間藤襲山に捕らわれている。
平均すれば犠牲者はせいぜい年1人となり、さほど大きな被害ではない。
異形の鬼との戦いを避け、逃げるという選択をすることも実は大切なのである。
最終選別の真の目的というのは、鬼を倒せる即戦力の確保というよりは、冷静に状況を判断することが出来る人材を選び出すことだったのかもしれない。
そのために手鬼は敢えて藤襲山に放置されていたのではないだろうか。




兄妹の絆~鬼滅の刃研究3「物語発端編」~

「鬼滅の刃」の時代は大正時代である。
主人公は13歳の少年・竈門炭治郎(声:花江夏樹)。
父親・炭十郎は既に亡く、母親の葵枝(声:桑島法子)と妹弟の禰󠄀豆子 (声:鬼頭明里)、竹雄(声:大地葉)、花子(声:小原好美)、茂(声:本渡楓)、六太(声 :古賀葵)との7人暮らし。
炭治郎は炭焼きをして一家を支えている。


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「鬼滅の刃」第1話「残酷」は雪が降る中、炭治郎が麓の村まで炭を売りに出かけていくところから始まる。
公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」によると、炭治郎たちが暮していたのは東京は奥多摩の雲取山ということになっている。
雲取山は標高2017.13メートルで、都内最高峰である。


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麓の村というのは山梨県丹波山村の鴨沢ということになるのだろうか。
もし仮に竈門家が頂上近くにあったとすると、鴨沢まではおよそ11キロ。
通常の登山であれば登り4時間30分・下り3時間かかる。


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先日、この鴨沢まで足を運んだ。
漫画やアニメの中に描かれた集落に比べると家の数も少なくだいぶ寂れていた印象だった。
ひょっとしたら炭治郎はそこからさらに16キロ東の現在の奥多摩町のほうまで足を延ばしていたのかもしれない。


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いずれにせよ炭治郎は、麓の村で村人からいろいろと手伝いを頼まれたり、いざこざの仲介に入ったりと、なかなか慕われている様子である。
そのまじめで優しい性格によるのだろうか。
単行本22巻の「戦国コソコソ話」によると、炭治郎の先祖の炭吉は山で遭難した母子を助けたことがあった。
たいしたことはしていないと礼の金子を受け取らなかったが、その母子は大名の妻子であったため、大工が大勢やって来て家を綺麗に直してくれたという。
どうやら竈門家は代々人望があったようだ。


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そんなわけですっかり夕方になってしまった。
家路を急ぐ炭治郎を、麓に住む三郎じいさん(声:てらそままさき)が呼び止めた。 
「(遅くなると)鬼が出るぞ」。
炭治郎は、泊まっていくことにするが、結果的に三郎じいさんの予想は的中することになる。


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翌朝、家に帰った炭治郎が目にしたものは、血まみれになって惨殺された家族の姿であった。
後に家族を殺したのは鬼の始祖・鬼舞辻無惨であったことがわかる。
もし炭治郎が三郎じいさんの制止に従っていなければ、彼も他の家族同様に惨殺されていたはずである。
あるいは禰󠄀豆子同様鬼となっていた可能性が高い。
そうなると、後から駆けつけた冨岡義勇によって首を切られていたに違いない。


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炭治郎は家族の中で唯一まだ息のあった妹・禰󠄀豆子を背負い山を降りる。
その途中、突如禰󠄀豆子は豹変し、炭治郎に襲いかかった。
そこに駆け付けた鬼殺隊の柱・冨岡義勇(声:櫻井孝宏)によって、禰󠄀豆子が人喰い鬼と化したことを知らされる。
必死に妹を守ろうとする炭治郎と、そしてそんな炭治郎を食べようとせず庇おうとする禰󠄀豆子の様子を見て、
義勇は2人が「何か違うかもしれない」と感じる。


義勇は炭治郎に自分の師である「育手(そだて)」の鱗滝左近次(声:大塚芳忠)を紹介した。
「育手」とは、鬼狩り組織・鬼殺隊の隊士を育成する役割の人物である。
禰󠄀豆子を人間に戻す方法を見つけ出すため、そして鬼を倒すため、炭治郎は鬼殺隊員士となるべく鱗滝のもとで厳しい鍛錬を受けることとなる。


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修行を始めてから1年…鱗滝は炭治郎に大岩を斬るという試練を与えた。
大岩を斬ることが出来たなら、鬼殺隊の最終選別を受けることを認めようというのだった。
半年かけても炭治郎は岩を斬ることが出来ないでいたが、そんな彼の前に狐の面をつけた少年・錆兎(声:梶裕貴)と少女・真菰(声:加隈亜衣)が現れる。
2人の指導で炭治郎は修行を続ける。
そしてさらに半年後、炭治郎は錆兎と真剣を使った最後の訓練に望む。
炭治郎の刀が錆兎の面を斬った時、錆兎は忽然と姿を消し、
大岩は真っ二つに斬れていた…。


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そうして、炭治郎は藤襲山で行なわれる鬼殺隊の最終選別に挑むこととなった。



過狩り狩り~鬼滅の刃研究2「ルーツ編」~

「鬼滅の刃」の原作者の吾峠呼世晴とはどんな人物なのだろうか。
名前の読み方は「ごとうげ・こよはる」である。
吾峠はこの「鬼滅の刃」が初めての連載作品である。
そのため、その個人については永らく謎であった。



吾峠は福岡県出身。
1989年5月5日生まれで現在32歳の女性である。
眼鏡をかけたワニの自画像を用いていることから、「ワニ先生」とも呼ばれている。


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本名は不明であるが、一説には名字が「峠」あるいは「後藤」ではないかと囁かれている。



「鬼滅の刃」には鬼殺隊の「隠し」の後藤という人物が登場するが、「本名の後藤を隠す」という意味ではないかとも言われる。


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一方の名前であるが、「呼世晴(こよはる)」というのが「晴子よ(はるこよ)」のアナグラムではないのか。
そうなると「峠晴子」あるいは「後藤晴子」というのがフルネームなのだろうか。


吾峠は2013年、24歳の時に、短編マンガ「過狩り狩り」をJUMPトレジャー新人漫画賞に投稿。
佳作に選ばれている。
2014年「文殊史郎兄弟」が「少年ジャンプNEXT!!」に掲載され、デビューを飾った。
その後、「週刊少年ジャンプ」に「肋骨さん」(2014年)と「蝿庭のジグザグ」(2015年)を発表している。

上記の作品はいずれも「吾峠呼世晴短編集」に収められているが、
中でも「過狩り狩り」は「鬼滅の刃」のルーツを探る上でも興味深い作品となっている。


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明治大正の頃を舞台に、人の血を吸う鬼を、鬼狩りが倒すという物語。
「鬼滅の刃」でも重要な役回りを演じる珠世と愈史郎がほぼ同様の人物として登場している。
洋装の鬼・時川は「鬼滅の刃」の敵・鬼舞辻無惨の原型であるように思われるし、主人公の鬼狩り・ナガレも柱の冨岡義勇をどことなく思わせる。
ナガレが山の中で修行する様子や、鬼のいる山で鬼狩りになるための最終選別を受けるという設定はそのまま「鬼滅の刃」に受け継がれている。


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吾峠はその後、連載を目指してネーム(下書き前の設計図)の制作を開始(参照)。
2015年中に連載を獲れなければ辞めるつもりでいたというが、なかなか採用には至らなかった。
「過狩り狩り」を元とした「鬼殺の流」のネームも当初不採用となるが、これが「鬼滅の刃」の原型となった。
「鬼滅の刃」公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」に「鬼殺の流」のネームがそのまま掲載されているが、「過狩り狩り」同様、鬼狩りのナガレ(流)が主人公となっている。
鬼狩り組織・鬼殺隊が登場し、鬼退治の刀・日輪刀や、藤襲山での最終選別など、「鬼滅の刃」にそのまま受け継がれた設定も多い。
第3話は、「鬼滅の刃」における沼鬼のエピソード(2巻10話)ほぼそのものである。

しかしながら、主人公の寡黙さや世界観のシビアさが連載には不向きとであるとされたという。
そこで当時の担当者は吾峠に主人公を変えることを提案した。
「明るくて普通のキャラクター」が作品世界の中にいないかどうか尋ねたところ、
吾峠は家族を殺され、鬼なった妹を人間に戻すために鬼殺隊に入る少年について説明した。
担当者は「何そのザ・主人公!」と思い、その少年を主人公として物語を考えるよう提案した。
この少年がそのまま「鬼滅の刃」の主人公・竈門炭治郎となったのである。


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タイトルが「鬼滅の刃」に変更されたのは、
流が主人公でなくなったため包括的なタイトルにしようとしたからだという。
作品に欠かせない「鬼」と「刀(刃)」を入れたタイトルとして「鬼殺の刃」となったが、
刺激の強い「殺」より広く使いやすい「滅」に変えられた。

コミックス1巻の「大正コソコソ噂話」によると、「鬼滅の刃」のタイトル候補としては次の9つがあったそうだ。

 鬼滅奇譚
 鬼鬼滅滅
 悪鬼滅滅
 鬼殺の刃
 滅々奇譚
 鬼殺譚
 空想鬼滅奇譚
 鬼狩りカグツチ
 隅のカグツチ

タイトルに登場する「カグツチ(迦具土)」とは「古事記」に登場する火の神である。
カグツチは「竈三柱神」の1人にも数えられる「かまど神」だが、主人公・竈門炭治郎の名字とも重なる。
その炭治郎は「ヒノカミ神楽(日の呼吸)」を操るが、「ヒノカミ」とは「火の神」のことと考えられる。
「古事記」においてカグツチは、生まれた際に母イザナギの陰部を焼いて殺してしまい、
怒った父イザミギによって切り殺されてしまう。
その死体からは多くの神々が生まれたが、「日の呼吸」から多くの呼吸が生み出されたこととも共通する。
日本神話というのが「鬼滅の刃」のルーツにあるのだろう。
吾峠の故郷・福岡には竈門神社があり、今では「鬼滅の刃」の聖地ともなっている。


吾峠は影響を受けた作品を聞かれて、「ジョジョの奇妙な冒険」、「ナルトーNARUTO-」、「BLEACH」の3作品をあげたという(参照)。
例えば、剣を使っての攻撃や、鬼狩り組織の鬼殺隊の階級制度が「BLEACH」に、
鬼殺隊や鬼がお互いに技を使って戦う点や痣(「ナルト」では呪印)の出現が「ナルト」に、
特殊な呼吸法を使って太陽に弱い敵を倒すという点が「ジョジョ」に似ているというのだ。
他にも人を喰う敵が登場する点から「進撃の巨人」の影響を指摘する人もいる。
もちろんこれらの作品が「鬼滅の刃」に与えた影響は否定できないだろう。
だからといって「鬼滅の刃」の価値がなくなるとは僕はまったく思わない。
先行作品の要素を換骨奪胎し、独自の世界観にまとめ上げたのは紛れもなく吾峠の功績である。



紅蓮華~鬼滅の刃研究~

昨年2020年から社会的ブームを巻き起こしているアニメ「鬼滅の刃」。
映画「無限列車編」は、日本における歴代興行収入1位を更新。
さらに、今年はテレビアニメ第2期「遊郭編」の放送も決定し、まだまだその勢いは衰えそうにない。
僕もすっかりハマってしまった。
今更感もあるが、そんな「鬼滅の刃」の魅力について、いろいろと考察してみたいと思う。
なお、最終話までのネタバレを含む場合もあるが、なにしろここまでブームになった作品でもあるので、ぜひとも一読して頂くことをお薦めする。


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「鬼滅の刃」(作者:吾峠呼世晴)は2016年2月に「少年ジャンプ」誌にて連載が開始された。
2020年5月まで約4年間、全205話連載されている。
単行本は全23巻で完結。
「少年ジャンプ」連載漫画というと、全200巻の「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(秋本治)は別格としても、「ONE PIECE 」98巻(尾田栄一郎/継続中)、「銀魂」77巻(空知英秋)、「BLEACH」74巻(久保帯人)、「キン肉マン」74巻(ゆでたまご/継続中)、「NARUTO ―ナルト―」72巻(岸本斉史)といった具合に人気作品は長期連載になる傾向にある。
これらの作品においては、敵を倒すとさらに強い敵が登場するなど、無理やりストーリーを引き伸ばしたようなものがしばしば見受けられる。 
その一方で「鬼滅の刃」の場合は、当初の敵・鬼舞辻無惨を倒したところであっさりと連載を終わらせており、潔い幕切れだったという印象だ。


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作者の吾峠呼世晴(ごとうげ・こよはる)によると、23巻での完結は概ね当初の予定通りであったそうだ。
公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」によると、まだ単行本の発行されていない連載初期に吾峠は担当者から「何巻で完結しますか?」と聞かれたことがあった。
吾峠が「15巻ぐらいですかね」と答えたところ、「これから出す予定のキャラの人数を考えると(略)少なくとも20巻以上かかります」と言われ、
終わる巻数、おおよその章、登場人物の数などを事前に決めたそうである。
もっとも、最後まで回収されなかった伏線があったりと、予定に合わせるために端折られた部分もかなりあったように思われる。
敵の主力となると思われた十二鬼月の下弦の鬼が7巻(51話~52話)で唐突に粛清されたのも、予定に間に合わせるためだったとすれば納得がいく。


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2019年4月から9月まで、テレビアニメがTOKYO MXで「竈門炭治郎立志編」として全26話で放送された。
原作でいうと7巻(53話)までの内容に当たる。
放送されたのは土曜23:30~0:00の放送であったが、その後動画配信サービスなどで人気に火がつき、単行本の品切れが相次ぐ事態となった。
アニメ放送前「鬼滅の刃」の単行本の売れ行きは累計350万部であったが、
放送終了時には1200万部にまで延び、2021年2月までに累計1億5000万部を超えている。
こうしたことが話題となるにつれ、キャラクター・グッズやタイアップ商品なども増え、爆発的なヒットに繋がっていった。
2019年末のNHK「紅白歌合戦」にはアニメの主題歌「紅蓮華」を歌うLiSAが初出場し、
歌唱の際にアニメの映像が利用されたことも、知名度向上に一役買っている。


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2020年春、新型コロナウィルスの流行による緊急事態宣言が発令され、多くの人がステイホームとなった。
このことがアニメの鑑賞につながり、人気を後押しする要因となったのかもしれない。
10月10日には第1話から第5話を編集した総集編「兄妹の絆」、17日には第15話から21話の「那田蜘蛛山編」がフジテレビのゴールデンタイムに放送され、それぞれ16.7%、15.4%の視聴率をあげている。

その後、12月20日には第22話から第26話に新規映像を追加した「柱合会議・蝶屋敷編」が放送され14.4%の視聴率を挙げた。
同時刻に放送されていた「M―1グランプリ2020」の視聴率が19.8%であったことを考えても、大健闘だったと言える。


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10月16日、映画「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が公開された。
テレビアニメに続く原作7・8巻(54話~69話)の内容の映画化で、コロナ禍にも関わらず、空前の大ヒットとなった。
12月27日には観客動員数2404万人、興行収入324億円を突破し、「千と千尋の神隠し」を超えて国内興行収入成績第1位を記録した。 
コロナ禍もありなかなか観に行くことが出来ず、ようやく4月に入ってから観に行くことが出来たが、「映画史探訪」の管理人としては恥ずかしい限り。


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2020年末の新語・流行語大賞において「鬼滅の刃」はトップ10入りを果たした。
また、LiSAが歌う「無限列車編」の主題歌「炎」は年末の日本レコード大賞を受賞。
日本アカデミー賞でも最優秀アニメーション作品賞を受賞するなど、その勢いは一向に衰える兆しを見せない。


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2021年2月14日、AbemaTVで放送された「鬼滅祭」において、テレビアニメシリーズ第2期「遊廓編」の放映が発表された。
具体的な放送日はまだ決まっていないが、10月ごろになるのではないかと予想されている。
このブームは今後どこまで広がっていくのか、大変興味深いところである。


こうした「鬼滅の刃」について、これからいろいろと語っていこうと思っている。


ひきこもり先生~ゴールデンウィーク~

ゴールデンウィークに入った。
まさか2年連続で緊急事態宣言下のゴールデンウィークになるとは思いも寄らなかった。

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デパートなどの大型商業施設が閉店となり、
飲食店も20時までの営業。
また、お酒の提供が終日禁止となっている。

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確かにお酒が入ると、ついつい人は羽目を外してしまう。
大声で話してしまうこともあるだろう。

ご存知のように僕はお酒が大好きである。
居酒屋やバーに行けないのは確かに仕方がないと思う。
だが、普通の定食屋などでもお酒が飲めないというのはなかなか厳しい。
これまで夕食の時に生ビールを一杯飲むのが小さな楽しみだったのだが…。
幸いお酒の販売までは禁止されていないので、しばらくは家飲みを楽しむことにしたい。

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ゴールデンウィーク中は学校は自宅学習となった。
もっとも、公式戦2週間前の部活動は出場選手のみ活動が出来るため、部活動のために1、2日出勤することになっている。
授業が駄目でも部活動がオッケーということに矛盾を感じなくも無いのだが…。
それ以外は原則として、家に引きこもろうかと思う。

ずっと家にいても平気なのは、去年の緊急事態宣言の時によくわかった。
せっかくだから今まで観れなかった映画やドラマを観て過ごそう。
今は動画配信サービスも充実しているから、巣ごもり中もちっとも退屈せずに済みそうだ。