プリンス・オブ・エジプト~出エジプト記1~

「旧約聖書」は2冊目の「出エジプト記」に入った。
「出エジプト記」は「創世記」の400年後の時代を描いている。

エジプトに移り住んだイスラエル人達であったが、すでに「ヨセフのことを知らない新しい王が出てエジプトを支配(出エジプト記1.8)」するようになっており、強制労働を強いられていた。
イスラエル人はこの頃までに「壮年男子だけでおよそ60万人」(出エジプト記12.37)に増えていたというからファラオも彼らを脅威に感じたのであろう。
ファラオはイスラエル人に生まれた男の子をすべて殺すように命じた。
生まれたばかりのモーセ(モーゼ)は籠に入れられナイル河畔の芦の茂みに捨てられたが、ファラオの王女によって拾われ、王女の子として育てられることとなった…。
(下の絵はアルマ=タデマ「モーセの発見」)

FindingMoses.jpg

映画「十戒」(1956年米)ではモーセ(演:チャールトン・ヘストン)はファラオの息子(演:ユル・ブリンナー)と兄弟同然に育ち、2人の確執が後の物語に大きく関わっていく。
このモーセと対立するファラオの息子とは後のラメセス2世(BC1314~BC1224/在位BC1290~BC1224)の事であったとされている。
このラメセス2世は古代エジプト王朝の全盛期を築いた偉大なファラオで、今では世界史の教科書にも名前が登場している。


やがて成長したモーセは、同胞イスラエル人が虐げられていることを知って憤りを覚え、神の啓示もあってイスラエル人のリーダーとしてファラオと対峙することとなる。
モーセはイスラエル人がエジプトから出国することの許しを請うが、ファラオはそれをかたくなに認めない。
そこでモーセは10度に渡って奇跡で災厄を起こし、ファラオに許可を求めた。

この10度の厄災は「モーセの十災」とも呼ばれる。
 1.川の水が血に変わる
 2.蛙の異常発生
 3.ぶよの異常発生
 4.あぶの異常発生
 5.疫病により家畜が死ぬ
 6.はれ物の流行
 7.激しい雹が降る
 8.いなごの異常発生
 9.3日間暗闇が覆う
 10.すべての初子の死

ここにきてようやくファラオはイスラエル人たちが国を出ることを認めた。
モーゼ一行は先にも述べたように壮年男子だけで60万人であった。
妻子や奴隷も加えると、250万人を超えていたとの計算もある。
もっとも当時のエジプト全体の人口は200万に満たなかったという説もあるから、実際にはそれよりかなり少なかったのではないだろうか。
一説には「600家族」ではなかったというものもあり、それならば全体で2500人程だからよっぽど現実的である。
いずれにせよ一行は約束の地カナンを目指し、苦しい旅が始まる。


いったんはモーセ一行を去らせたファラオだったが、すぐに追っ手を差し向けた。
600の戦車でモーセ一行に迫る。
モーセ一行の前には海。絶体絶命。
ここでまた奇跡が起きる。
「モーセが手を海に向かって差し伸べると、主は夜もすがら激しい東風をもって海を押し返されたので、海は乾いた地に変わり、水は分かれた。」(出エジプト記14.21)
(下の絵はロッセッリ「紅海横断」)

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映画「十戒」のクライマックスは紅海が割れるシーン(写真下)。
アカデミー特殊効果賞を受賞しており、SFXを見慣れた今日の目で見ても幻想的で迫力がある。
アメリカのユニバーサル・スタジオのアトラクション「スタジオ・ツアー」ではトラムに乗ってスタジオを回るのだが、その際にこの紅海が割れるシーンが再現されている。
トラムが敷地内の池に差し掛かると、池の水が2つに割れて、その中を通っていく…。

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メル・ブルックス監督・主演の映画「珍説世界史PART1」(1981年米)は、世界史の有名なエピソードをパロディにした作品だが、ここにもモーセ(演:メル・ブルックス)が登場する。
大道哲学者のコミカス(演:メル・ブルックス)はシーザー(演:ドム・デルイーズ)を冒涜する言葉を発したため、追われることとなって逃げ出す。
目の前に川が…、するとそこにモーセが現れ両手を開いたため、川が割れて逃げることに成功する。
実はモーセは追い剥ぎに後ろからナイフを突きつけられていたのだというオチ。

このモーセの奇跡。本当に起こったことなのだろうか?
映画「エクソダス:神と王」(2014年米)では地震が原因となっていた。
気象的な条件が整えば、湖の水が一時的に無くなるという事はあり得るのだという。
「♪海が割れるのよ 道ができるのよ…」と「珍島物語」で歌われていたが、奇跡というのも実際は単なる自然現象で、それをモーセがうまく利用したというのが真相なのかもしれない。



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