失楽園~創世記2~

神によって生み出されたアダムとエバはエデンの園で暮していた。
ある時蛇はエバを唆し、神によって食べることを禁じられていた「善悪の知識の実」を2人に食べさせた。
実を食べた2人は裸であることを恥ずかしく思うようになり、その行為を怒った神は2人をエデンの園から追い出した。(創世記3)
(下の絵はギュスターヴ・ドレ「楽園から追放されるアダムとエバ」)

AdamEvEExpelled.png

現在人類がこの地球上に満ち溢れている原因は、アダムとエバが犯した罪(原罪)のせいである。
神は2人に「園のすべての木から取って食べなさい。ただし、善悪の知識の木からは、決して食べてはならない。食べると必ず死んでしまう。(創世記2.16~2.17)」と語っていた。

してはいけないと言われたらしたくなるのが人間である。
開けてはいけないといわれた玉手箱を開けてしまった浦島太郎。
覗いてはいけないと言われた“つう”の機織り姿を覗いてしまった与ひょう。
「押すなよ!押すなよ!絶対に押すなよ!」と言っても結局押されてしまうダチョウ倶楽部の上島竜兵。
いわゆる禁忌譚は破られるためにあるというのが物語の定石である。


禁断の果実を食べた2人は知恵がついたが、その代償としてエバには「苦しんで子を産む(創世記3.16)」、アダムには「生涯食べ物を得ようと苦しむ(創世記3.17)」罰が与えられた。
(下の絵はマザッチオ「楽園追放」)

ExpulsionGardenEden.jpg

この禁断の果実とは何なのか。
一般的にはリンゴとされている。
喉仏を「アダムのリンゴ(Adam’s Apple)」と呼ぶのは、神からとがめられて驚いたアダムの喉にリンゴが引っ掛かったからだともいう。
だが、実は聖書のどこにもその実がリンゴであるとは記されていない。
そもそもエデンの園のあったと推測される中近東では当時リンゴは栽培できなかったそうである。

他の説では禁断の果実はバナナやブドウ、トマト、ザクロであるともされる。
ちなみに僕はイチジクではなかったのかと思っている。
というのも、裸を恥ずかしいと思った2人はその直後にイチジクの葉で体を隠しているからだ。


ジョン・ミルトンの「失楽園」(1667年)では禁断の果実をリンゴとしており、それがリンゴのイメージの広まった理由だと考えられている。
以来、リンゴは性的な、官能のメタファーとしても多くの文学に取り入れられた。

例えば、島崎藤村の詩「初恋」。

まだあげ初めし前髪の
林檎のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情に酌みしかな

林檎畑の樹の下に
おのづからなる細道は
誰が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ


幼い少年が初めて恋の喜びを知るきっかけが、年上の少女によって手渡された禁断の果実であったというのも実に興味深いことである。



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