路傍の石~#教師のバトンプロジェクト~

3月26日に開始され、いろいろと物議を醸している「#教師のバトンプロジェクト」。
集まったネガティブな意見をどう扱うのかが注目されていた。


よく考えてみると、そもそも投稿の趣旨は「教師が前向きに取り組んでいる姿を知ってもらうこと」なのだから、
ネガティブな意見というのは出題の意図に反している。
テストでいえば、「作者の考えを述べなさい」と聞かれているのに、自分の意見を延々と答えるようなものだ。
だから、文部科学省は投稿のうちのポジティブな意見だけを取り上げてお茶を濁すものだと予想していた。
(下記ツイートはTwitterの公式アカウントがリツイートしていたもの。)







ところが、公式noteが「ご意見・ご指摘 ありがとうございます」という記事をupし、
「投稿を拝見し、教員の皆さんの置かれている厳しい状況を再認識するとともに、改革を加速化させていく必要性を強く実感しています。」と語ったのである。

さすがに文部科学省も、ここまで膨れ上がった現場のネガティブな声は無視出来なかったものと思われる。
記事の中では多かった意見として、
・長時間労働の改善
・部活動の負担、顧問制度の廃止
・給特法の改正
・教職員定数の改善
・免許更新制度の廃止
の5点を挙げている。

もちろん、厳しいのは教師だけではないという意見もあるだろう。
僕は民間企業に勤務した経験はあるとはいうものの、新卒からの2年間だけなので、正直現状についてはよくわからない。
ただ、僕は当時営業部に所属していたが、営業手当てがつく代わり残業代が出なかった。
しかも、「営業は外で人と会うのが仕事」という風潮があり、例えば書類作成などの事務作業は終業後にやるという感じだった。
教員と状況は同じである。

公立学校の教員の場合は、給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)によって教職調整額が支給される代わり残業代が支払われないことになっている。
なお、教職調整額は月給の4%ということなので、7時間45分勤務に当てはめれば、1日辺り18.6分である。
僕は比較的残業はしないほうではあるが、それでもこの時間は軽くオーバーしている。

しかも、給特法では公立学校の教員に時間外勤務を命ずることを禁止している。
つまり、放課後の部活動というのはあくまでも教員が自主的に行なっていることになっているのだ。
まったくとんでもない。

僕はこれまで、柔道部、水泳部、バレーボール部、バドミントン部、吹奏楽部、軽音楽部、演劇部などの顧問を受け持ってきた。
そのうち、過去に経験があるのは演劇と軽音楽ぐらいだ。
初任者の頃、野球部顧問の同期が一生懸命なのと比較されて副校長に怒られたことがあるが、
好きでやっている人と比べられて迷惑だった。
それでも、生徒のためと思って精一杯やってきたが、もしきちんと残業代が出ていたらもっと取り組み方は違っていたかもしれない。



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萩生田光一・文科相も30日の記者会見で「投稿いただいた先生方の思いをしっかり受け止めて、働き方改革を前に進めて参りたい」と答えている。
大臣にまできちんと話が伝わったということは嬉しく感じるのだが、
その一方で「願わくば学校の先生ですから、もう少し品の良い書き方をして欲しいなっていうのは私個人としてはございます」とも話している。
そもそも品の良い対応をされていないのにと思うが、
萩生田大臣がこれら切実な声を「一部の声」としてしか認識していない事の現れではないか。


萩生田大臣や文科省がこれらの声をきちんと受け止め対応していかなければ、
今後教員を目指す人はますます減ってくるだろう。
ただでさえ教員不足が問題になっているというのに、なんとも心配である。

これがきっかかけとなって教員の待遇改善につながってくれれば、このプロジェクトも意味があったことになるだろう。